桜島の安永大噴火は、1779年に発生した歴史的な火山災害で、記録に残る中では最大級の噴火とされています。この記事では、この大噴火を例に、避難行動の重要性と、スムーズな避難を促すためのポイントについて考察します。避難が遅れる要因や、人々が行動に移るために必要な声かけの効果など、実際の避難経験を通じて、いざという時に備えるための教訓を探ります。
記録に残る大噴火
1779年(安永8年)11月8日 桜島「安永大噴火」
江戸時代中期の安永8年10月1日(1779年11月8日)、鹿児島県の桜島で、記録の残る中では最大規模とされる安永大噴火が発生しました。
火山の噴火では身の安全を図るには避難しなければなりません。一刻も早く安全な場所に移動する必要があります。
避難の決断が出来ない場合
噴火を前にしても、避難に応じない人もいます。
災害は心構えができていない時に遭遇する場合もあり、避難指示が出てもすぐに避難の決断が出来ないこともあります。
避難に応じてくれない人
霧島山(新燃岳)の噴火(平成23年1月)
近所の人の声かけが一番!
~消防団員は避難の呼びかけと地域の見回りで大忙し~(高原町 60代 男性 消防団団長)
消防団の団長をしとるもんですから、噴火から1ヵ月間は家に帰る間もなく慌しく動いておりました。
避難区域の住民に避難を呼びかけるんですが、中には応じてくれない人も何人かいましてね。避難勧告でなく、拘束力のある避難指示だったらすんなり動いてくれたんでしょうけれども。高齢化の進んでおる地域ですから、行政が言っても聞かん人も多いんですわ。近所の人の「危ねぇから、逃ぐっど」が一番効果的でした。
出典 内閣府 防災情報のページより 「近所の人の声かけが一番!」
避難できない人間の心理
”避難しない”と決めているわけではない。
なかなか行動にうつせないないだけかもしれない。
出典 国土交通省近畿地方整備局|避難できない人間の心理を理解する
避難行動をとるには
声をかけあったり誰かが避難行動をとれば、
周りのみんなも行動することができる
想定や経験にとらわれずに
最悪の状況を考え行動する
参照 国土交通省近畿地方整備局|避難できない人間の心理を理解する
1914桜島噴火 災害に対する対応
避難
安永噴火の言い伝えが残っていましたから、危険を察知した住民は自主的に避難しました。
当時、自主防災組織のようなものはありませんでしたが、消防団とともに青年会・婦人会などが災害弱者を助けたそうです。こうした「生き物としての勘」による自主避難が人的被害を最小限に食い止めた要因と思われます。出典 災害史に学ぶ 1914桜島噴火
事前の迅速な避難
火山災害時は事前の迅速な避難が、人的被害の有無を大きく左右します。
1.火山防災マップを見て、噴火警戒レベルに対応する危険な場所を確認しておきましょう
2.あらかじめ、避難場所や避難経路を確認しておきましょう
3.気象庁が発表する噴火警報・噴火警戒レベル等に留意しましょう
4.噴火の恐れがある場合には、「警戒が必要な範囲」から事前の避難が必要です。地元の市町村の指示があった場合には、それに従いましょう
出典 首相官邸ホームページ
まとめにかえて
火山噴火の際は、まず速やかに避難勧告や指示に従い、安全な場所へ避難することが重要です。また、避難路を確認しておくなど普段からの備えが大切です。
災害が起こり避難を促す防災情報があっても、直ぐに避難行動がとられないことがあります。各人の事情は様々かもしれませんが、皆で声をかけあうことが、スムーズな避難に有効な場合があります。
いざという時の備えとして”声掛け”は共助といえます。
火山災害から身を守るためには…
「火山災害は、①普段からの備え や、②事前の速やかな避難 が重要」
1.「火山防災マップ」という各市町村で作っている地図を見て、「噴火警戒レベル」に対応する危険な場所を確認しておきましょう。
2.あらかじめ、避難する場所や、そこまでの道順を確認しておきましょう。
3.気象庁の発表する「噴火警報」などの情報や、「噴火警戒レベル」に注意しましょう。
4.噴火のおそれがある場合には、危険な地域では事前の避難が必要です。地元の市町村の指示があった場合には、それに従いましょう。
出典 気象庁|「火山防災の日」特設サイト