避難した後で戻るのは危険があることを知っておく・3月23日(文政5年2月1日) 有珠山文政火砕流

火山
記事内に広告が含まれています。

災害時、無事に避難した後でも「忘れ物を取りに行きたい」「家の様子が気になる」などの理由で戻るのは、大きな危険を伴うことがあります。1822年の有珠山文政火砕流では、避難後に戻った住民が火砕サージに巻き込まれ、多くの犠牲者が出ました。本記事では災害時の冷静な判断と慎重な行動による避難について考察します。

火砕流・火災サージにより被害

1822年3月23日(文政5年2月1日) 有珠山文政火砕流

出典 豊浦町|有珠山火山防災マップ 洞爺湖に流入する火砕サージ(1944年噴火-昭和新山)

北海道の有珠山で文政火砕流が発生しました。有珠山ではこの半月前から火山活動が活発化し、火砕流も発生していましたが、この日に最大級の火砕流が発生しました。

火砕流・火砕サージとは

高熱の岩石や破片が斜面を流れ下る現象を火砕流、火山灰と空気の混ざった高熱の爆風を火砕サージと言います。スピードが非常に速く、時速100キロを超える事もあります。火砕流や火砕サージの温度は数百度と大変高温で、襲われた森林や住宅は一瞬のうちに燃え上がってしまう非常に危険な現象です。
出典 国土交通省北陸地方整備局 神通川水系砂防事務所

戻ることで被害

事前に避難したにも関わらず、戻ることで被害

有珠山で最も多くの死者を出した災害は、火砕流・火災サージによるものです。

山頂噴火の例(文政噴火)
文政噴火(1822年)は有史以来最も大きな火災流が発生した噴火です。現在の洞爺湖温泉はもちろん、旧虻田町や伊達市の市街地付近まで火砕流が達しました。
旧アブタ地区は火災サージに襲われ、103名の死者(全住民の約3割)と多数の負傷者が出ました。被害にあった人たちは、事前に避難したにも関わらず、アブタに戻り火災サージに襲われたものです。

出典 北海道伊達市|火山の心得 火砕流・火災サージ

避難した後で災害にあう

災害で避難した後で戻って被害にあうことを防止するには、以下のことに注意することが重要です。

  • 避難所から自宅に戻る前には、市町村や消防などの公的機関から安全確認が出ているかどうかを確認しましょう。
  • 自宅が安全だと判断できる場合でも、再度の災害発生や二次災害の可能性があります。気象情報やハザードマップなどを参考にして、適切なタイミングで帰宅しましょう。
  • 帰宅後も、家屋の損傷や周辺の危険箇所をチェックしましょう。また、水道やガスなどのライフラインの復旧状況も確認してください。

参照 首相官邸ホームページ

避難行動判定フロー

避難行動判定フロー・避難情報のポイント(内閣府)

内閣府が定めた「避難行動判定フロー」は、ハザードマップとあわせて確認することにより、居住する地域の災害リスクや住宅の条件等を考慮したうえでとるべき避難行動や適切な避難先を判断できるようにしたもの。
また「避難情報のポイント」とは、「避難」の意味や適切な避難先、警戒レベル、警戒レベル相当情報、避難の呼びかけ等をわかりやすく簡潔に解説したものである。
出典 TEAM防災ジャパン

出典 TEAM防災ジャパン

まとめにかえて

災害が起こり避難した後に戻るのは、自宅や職場などの貴重品や必要なものを取りに行く為や被害状況を確認するためだったり事情はいろいろあると思われます。しかし避難したのは命を守るためで、そこに戻るのはまた命の危険がある場所に行くことになります。
いざという時のために、非常持ち出し袋など素早く避難ができるを準備や心構えを持っておくことが大事です。

「もう帰って来られないかも」

平成12年(2000年)有珠山噴火(平成12年3月)

「もう帰って来られないかも」
~「7分の7」の確率知り~

(壮瞥町 50代 男性)

有感地震ですよね。夜中にカタカタという音で、数回目が覚めました。翌朝になって、うちのカミさんと子どもたちは全然気がつかなかったというんだけれど、私のおやじとおふくろは昭和52年の噴火を経験しているからか、「多分、噴火につながるよ」というような話をしていました。有感地震ですぐに噴火を意識したところが、経験していない人との違いなのだろうと思います。

翌々日、役場の大講堂で、北海道大学の岡田先生の会見がありました。どこかの記者が「噴火の確率は?」って聞いたら、「7分の7」って。もう即答でしたね。それは、ほぼ100%の確率で噴火するという意味で驚きましたが、この山はわかりやすい性格なんだなと変に納得しました。

家族離散というと大げさですけれども、おやじ、おふくろは親戚のうち、カミさんは子どもを連れて実家に避難するし、僕は勤め先の施設に残りました。有珠山を眺めながら、「もう帰って来られないかも」と達観している自分がいました。

出典 内閣府防災情報のページ|一日前プロジェクト

タイトルとURLをコピーしました