海底火山の噴火が引き起こす様々な影響や、それに伴う津波のメカニズムについて理解することは、災害への備えと対策を考える上で欠かせません。日本を取り巻く海域には多くの海底火山が存在し、そのリスクもまた高まっています。海底火山噴火と津波の関係性や、これまでの火山津波の事例を踏まえつつ、被害を最小限に抑えるための対策などについて紹介していきます。海底火山噴火がもたらす潜在的な危険性について正しく認識し、日常生活における備えや防災意識を高めることは、防災に取り組む上で有益です。
伊東市沖で有史以来初めての海底火山噴火
1989年(平成元年)7月13日 伊東沖海底火山噴火
静岡県伊東沖で海底火山が噴火しました。この地域では、1930年に群発地震が発生して以降、しばらく活動を休止してましたが、1970年代後半頃より群発地震活動が再開し、1989年7月に、群発地震とともに伊東市沖の手石(ていし)海丘で有史以来、初めての噴火があり、後にこの海底火山は手石海丘と命名されました。
美しき伊豆の大地と海に眠る火山群!
平成になって初めての年、伊東市周辺では6月末から2万回を超える群発地震が発生していました。
出典 静岡県危機管理部メールマガジン
噴火の数日前から、細かな縦揺れが続き、当時小学生だった県職員Sさんは、自宅の2階に兄弟で過ごしていたところ、1階の家族が兄弟で暴れていると勘違いし「ドタバタ騒ぐな」と注意されたことがあったそうです。
7月 11 日には、伊東市内で火山性微動が観測され、13 日に海底噴火が発生しました。
この噴火により他の市町に避難した人もいたそうです。後に、この海底火山は「手石海丘(ていしかいきゅう)」と命名されました。
手石海丘をはじめ、小室山、伊東市街などが含まれる地域は「伊豆東部火山群」として、「噴火の影響が及ぶ可能性がある範囲」に設定されています。
海底火山噴火とは?そのメカニズムと影響
海底火山とは
陸上にある火山と同じだが、周りに大量の海水が存在し、その高い水圧がかかるため、陸上の火山と比べると噴火規模は小さいことが多い(海底噴火(英語版))。ただし比較的浅い場所で噴火した場合は、水及び水圧による抑制がきかないため、陸上火山と同規模の噴火を起こす。また、海水がマグマにふれて一瞬にして気化することによりマグマ水蒸気爆発が起きることがある(スルツェイ式噴火)。
出典 Wikipedia|海底火山
海底火山噴火の主な影響
海底火山噴火は津波や火山性地震を引き起こす可能性があり、周辺地域に甚大な被害をもたらす危険性があります。
噴火による影響
伊豆東部火山群防災協議会において、 国の火山防災マップ作成指針に基づき再計算した結果、 噴火の影響の及ぶ範囲が2kmから3.5kmに拡大され、 協議会において承認されました。 熱海市では、 想定火口域はありませんが、 噴火の影響範囲の拡大により、 熱海市の一部が噴火の影響の及ぶ範囲に含まれることから、 活動火山対策特別措置法により火山災害警戒地域として熱海市が指定されました。
出展 熱海市|伊豆東部火山群の噴火による熱海市への影響
海底火山噴火による津波のメカニズム
海底火山噴火による津波は、低地に位置する地域に大きな被害をもたらす可能性があります。
海底火山噴火と津波の関係
海底火山噴火によって引き起こされる津波は、地下の地殻変動によって海水が大きく揺れ動き、波の高さが増加することで発生します。このような津波は海岸沿いの地域に被害をもたらす場合があります。
トンガ地震とその教訓
2023年に発生したトンガ地震は、海底火山活動と津波被害の深刻さを再認識させる出来事でした。
トンガ沖で海底火山が噴火した影響で県内では、1月16日、津波が観測されました。噴火による津波は海外だけでなく静岡県の沖合いでも発生する恐れがあると専門家は指摘します。
出典 SBS news6 火山噴火による津波
日本における海底火山の分布とリスク
日本の主要な海底火山とその位置
日本列島周辺には多くの海底火山が存在し、その地形や特性によってリスクが異なります。海底火山の分布や活動状況を把握し、継続的な観測と分析が重要になります。
海底火山噴火に備えるための取り組み
海上保安庁においては,航空機による南方諸島及び南西諸島方面の海底火山活動海域の温度分布,火山性変色水の分布等の調査及び磁気測量、また海域における火山噴火の予知に関する的確な情報収集と提供を図るため,海域火山基礎情報図の整備を行っています。
出典 内閣府防災情報のページ|火山災害対策
まとめにかえて
海底噴火による被害は周辺地域への「津波」とマグマが固まってできる「軽石」の大きく2つが言われています。
海底火山の噴火が発生した際には、速やかな避難が生命を守る上で重要な行動となります。その地域の住民は避難経路や避難場所を前もって把握しておくことが大事です。
津波から身を守るために
津波警報・注意報を見聞きしたり、海辺で強い揺れを感じたり、長くゆっくりした揺れを感じたりしたら、海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難しましょう。
出典 気象庁|津波から身を守るために