災害が立て続けに発生することを想定してみる・12月18日(文政11年11月12日)三条地震 

地震
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1828年、江戸時代後期の越後平野(現新潟県)を震源とする推定マグニチュード6.9の三条地震が発生しました。この地震では、家屋の倒壊や山崩れに加えて、地中から水や砂の噴出、敷地での火災など複数の災害が同時発生する「複合災害」が起きていると考えられています。この記事では、複合災害の特徴と対策について、三条地震の例をもとに考察します。

地震、山崩れ、地中からの水や砂の噴出、火災が相次ぎ発生

1828年12月18日(江戸時代後期の文政11年11月12日) 三条地震

出典 国立公文書館

新潟県の越後平野を震源とする推定マグニチュード6.9の三条地震が発生しました。
この地震で、信濃川流域の現在の三条市や見附市、長岡市(もとの栃尾市や与板町)などで家屋の倒壊、山崩れ、地中からの水や砂の噴出、また市街地での火災などが相次ぎ発生し複合災害となったと思われています。

複合災害とは

複合災害とは、複数の現象がほぼ同時に発生するか、もしくは短期間に立て続けに発生することによって発生する災害のことです。

近年我が国では豪雨や地震が頻発しており,山崩れ,洪水氾濫,津波,地盤沈下など様々な現象が複合して,広域に渡り自然災害が発生する傾向にあります。自然災害では,人命や財産,土木施設など住民の生存基盤にとどまらず,農林畜水産業や電力・水・交通網などの産業基盤に大きな被害が生じます。

出典 北海道大学広域複合災害研究センター

複合災害の対策

2011年3月11日の東日本大震災は巨大地震が発生し、それによって発生した津波により甚大な被害がもたらされました。さらにこれに加えて福島第一原子力発電所で発生した深刻な事故があり、典型的な複合災害と言えます。

複合災害の防災・減災

近年,自然災害の発生の増加に伴い,地震と津波・地震と洪水といった複数の現象が同時または同時期に発生する「複合災害」の危険性が指摘されています。1つの災害のみであれば機能する対策も,複合災害の場合十分に機能しないことがあります。例えば,地震によって堤防が沈下すると,普通防ぐことが可能な水位の高さでも越水が発生します。さらに,亀裂や段差が発生した場合は,そこが弱点となり越水時に堤防がその機能を失う危険性を増加させます。
出典 東京理科大学理工学部土木工学科水理研究室|防災・減災に関する研究

出典 東京理科大学理工学部土木工学科水理研究室|防災・減災に関する研究

事前防災・複合災害ワーキンググループ提言

事前防災・複合災害ワーキンググループでは、大規模自然災害における事前防災の取組や、大規模自然災害と感染症等との複合災害への対応についても課題としています。
参照 内閣府防災情報のページ

「天災は忘れる間もなくやってくる」
「備えていたことしか、役には立たなかった。
備えていただけでは、十分ではなかった。」

(本文より)

事前防災・複合災害ワーキンググループ提言

内閣府防災情報のページ|令和4年版防災白書

広域複合災害対策を進めていくために

優れた広域複合祭対策を立案しても、その計画を適切に実施しなければ防災・減災に繋がらないのは言うまでもない。また、自治体の災害対応部署全員が災害対応経験有りということはほとんどなく、災害発生時に初めて実際の災害対応を経験することも少なくない。大規模な災害になるほど、災害対応部署だけでの対応ではなく、所属組織全体で日常業務を行いつつ災害対応を行うことになり、復旧・復興期間が長くなるほど、人員の健康の観点からも、災害対応経験の有無に関わらず、災害対応に携わることとなる可能性が高い。したがって、自治体組織全体として災害対応を行うためには、策定した計画に基づいて現在どのような災害対応を行っているのか、今後どのような対応に移っていくのかといった災害対応状況を組織全体で共有し、対応人材がその時の目的を理解して対応できるマネジメントを計量可視化することが有効であると考えられる。
出典 北海道大学広域複合災害研究センター|広域複合災害減災の手引き 5.3 具体的な広域複合災害対策を進めていくために

出典 北海道大学広域複合災害研究センター|広域複合災害減災の手引き 5.3 具体的な広域複合災害対策を進めていくために

複合災害が起きた場合、対応する人員などのリソースが十分にないことも想定されます。対策がどのように行われるかを理解、共有しおくことは、全体で災害対応を取り組む上で重要です。

まとめにかえて

天災は備えの有無に関わらずやってきます。被害を想定して備えていても、コロナ禍等想定外のことが起きる場合もあります。特定の準備をしていただけでは十分ではないことを考えておくことも、いざという時の備えとなります。

自治体や地域住民による防災計画を事前に知っておくことは、自分の防災に取り組む上で有益です。自治体による防災計画は公開されている地域防災計画から見ることができます。
参照 地域防災計画データベース、 内閣府防災情報のページ|防災計画
また地域の住民が自分たちの人命や財産を守るための防災対応は、地域防災計画としてそれぞれ策定されています。
参照 内閣府防災情報のページ|みんなで作る地区防災計画

コロナ禍の避難行動や避難生活

令和2年7月豪雨は、新型コロナウイルス感染症の流行下で発生したため、避難行動においても感染症対策が求められました。
出典 総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ

総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ

能登記録的大雨~見えてきた複合災害の実態

石川県能登地方の記録的大雨から3週間が過ぎましたが、1月の地震の爪痕が大雨の被害をさらに大きくした実態が次第に明らかになってきました。豪雨の増加傾向で心配されていた「複合災害」が現実になってしまった形です。では具体的に被害はどう拡大したのか、連続する災害に備えるすべはあるのか、現場での取材を通じて考えます。
出典 NHK

出典 NHK
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