南海トラフ沿いで発生する巨大地震は、過去から現代まで繰り返し地域に甚大な影響を与えてきました。1946年12月21日に発生した昭和南海地震は、多くの命を奪い、広範囲にわたる大津波で甚大な被害をもたらしました。この災害を忘れず、今後の南海トラフ地震への備えとして、過去の地震から何を学ぶべきかを考えてみましょう。地震や津波の備えは決して他人事ではなく、いつ起きてもおかしくない災害に対し、自分のこととして考えることが大切です。
東海・北陸地方から九州地方の広い範囲で揺れ
1946年(昭和21年)12月21日 昭和南海地震
安政南海地震から92年後の昭和21年12月21日の夜明け前4時20分頃、昭和の南海地震が発生し、約30分後に高さ4-5メートルの大津波が広村を襲いました。
出典 気象庁ホームページ
和歌山県南方沖を震源とするマグニチュード8.0の昭和南海地震が発生し、東海・北陸地方から九州地方にかけての広い範囲で震度5の揺れが観測されました。
南海トラフ地震とは
駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を「南海トラフ」といいます。
この南海トラフ沿いのプレート境界では、①海側のプレート(フィリピン海プレート)が陸側のプレート(ユーラシアプレート)の下に1年あたり数cmの速度で沈み込んでいます。②その際、プレートの境界が強く固着して、陸側のプレートが地下に引きずり込まれ、ひずみが蓄積されます。③陸側のプレートが引きずり込みに耐えられなくなり、限界に達して跳ね上がることで発生する地震が「南海トラフ地震」です。①→②→③の状態が繰り返されるため、南海トラフ地震は繰り返し発生します。
出典 気象庁|南海トラフ地震とは
南海トラフ地震の過去事例を見てみると、その発生過程に多様性があることがわかります。宝永地震(1707年)のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8クラスの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりしています。さらに、隣接する領域で地震が続発した事例では、安政東海地震(1854年)の際には、その32時間後に安政南海地震(1854年)が発生し、昭和東南海地震(1944年)の際には、2年後に昭和南海地震(1946年)が発生するなど、その時間差にも幅があることが知られています。
出展 気象庁|南海トラフ地震について | 南海トラフ地震とは
南海トラフ地震は、過去の事例を見てみるとこれまで100~150年の周期で大規模な地震が発生しています。地震が発生したその時のことを事前に想定しておくことは、防災に取り組む上で有益です。
地震発生その時
この動画は、南海トラフ沿いで地震が発生した後、時間差で巨大地震の発生する可能性が相対的に高まった場合、必要となる防災対応について、ご理解を頂くために作成したものです。
出典 内閣府防災
南海トラフで発生した昭和南海地震から75年…
専門家が訴える「想定すること」の大切さ 岡山・香川
75年前の12月21日は昭和南海地震が発生した日です。この地震では岡山・香川でもそれぞれ50人以上の死者が出ました。この地震の記憶とともに今後必ず来る「南海トラフ地震」について考えます。(2021/12/22)
出典 KSB瀬戸内海放送
南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!
南海トラフ地震臨時情報が発表されたら何をすればいいの?
南海トラフ地震臨時情報(調査中)が発表された場合は、個々の状況に応じて避難等の防災対応を準備・開始し、今後の情報に注意してください。また、地震発生から最短2時間後に観測された異常な現象の調査結果が発表されます。政府や自治体からキーワード(巨大地震警戒、巨大地震注意または調査終了)に応じた防災対応が呼びかけられますので、それぞれの内容に応じた防災対応をとってください。
出典 内閣府防災情報のページ|南海トラフ地震臨時情報が発表されたら何をすればいいの?
南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!
南海トラフ地震臨時情報が2分でわかりやすく!
出典 内閣府防災情報のページ|南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!
南海トラフ地震が発生したら
地震が発生し揺れを感じたら、まず身を守る行動をとります。
- 家庭で、頭を保護して机の下など頑丈な場所に隠れる
- 屋外で、ブロック塀や電柱、自動販売機など、倒れる危険のある場所から離れる
- 沿岸部で、津波の発生・襲来に備えて、安全な場所に避難する
出典 内閣府・気象庁
まとめにかえて
「災害はひとごと」と思っていませんか?
災害は、いつどこにやってくるかわかりません。平成7年1月17日、地震は起こらないと多くの人が思い込んでいた関西地方で、マグニチュード7.3の大規模地震による震災(阪神・淡路大震災)が発生しました。大地震や豪雨などの自然現象は、人間の力ではくい止めることはできませんが、災害による被害は、わたしたちの日ごろの努力によって減らすことが可能です。
出典 内閣府|減災のてびき
「南海トラフ」を震源とする地震は、必ず津波をともなっている
南海地震(昭和21年12月)
津波の「つ」の字も知らなかった
(徳島県海部郡 80代 男性)
22歳のときです。私は外国航路の船員をしていたのですが、戦争中に会社の船がやられましてね。復員 ※ してきたものの、乗る船がない。それで、この田舎で青年団活動なんかに参加していました。
当時、テレビはもちろん、娯楽が全然ないものですから、青年団が集まって村芝居をやっていましてね。地震が起こる前の晩も遅くまで練習をしていました。
血気盛りの青年ですから、真冬でも越中フンドシで夏のゆかた、これが寝間着の定番ですわ。で、午前4時ごろ、寝ている時にグラッときたんです。
後で調べてわかったことですが、この「南海トラフ」を震源とする地震は、必ず津波をともなっているんです。それに、今まで、だいたい100年周期でやってきている。その100年がすぐそこに来ているにもかかわらず、私はそのとき津波の「つ」の字も全く知らなかったんです。
※復員とは、招集された軍人が任務を解かれて家庭に帰ること。