2014年9月27日、御嶽山で発生した噴火は、秋の紅葉シーズン中に多くの登山者が山頂付近にいる中で発生し、多大な被害をもたらしました。この噴火では、死者58名、負傷者69名、行方不明者5名が出るという悲惨な結果となりました。火山噴火は大きな予兆が見られないことも多く、御嶽山噴火を教訓に、登山者を含むすべての人々が日常的な備えや情報収集を行う重要性が改めて認識されています。
秋の紅葉シーズンの噴火
2014年(平成26年)9月27日 御嶽山噴火
平成26年(2014年)9月27日午前11時52分、山頂南西の地獄谷付近で水蒸気爆発が発生しました。
噴火発生当時、視界が悪く、山頂付近の状況は不明でしたが、山頂の剣ヶ峰に設置されている監視カメラによると、火砕流は南西方向に3kmを超えて流れおりていました。
気象庁は同日12時半頃、警戒が必要な範囲を明示した「火口周辺警報」を発表し、噴火警戒レベル1(平常)から噴火警戒レベル3(入山規制)に引き上げました。また、13時半頃には「降灰予報」を発表しました。
出典 総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ|御嶽山噴火災害に学ぶ
被害の概要 噴火時、山頂周辺に多くの登山者
噴火により、死者58名、負傷者69名のほか、5名の方が行方不明となりました。負傷者のうち10名の方は、御嶽山の岐阜県側で被災されました。秋の紅葉シーズンで久しぶりの良い天気の昼前だったこともあり、噴火時は山頂の周辺に多くの幅広い年代の登山者がいました。その中で発生した噴火により、また、噴火に伴い飛散した噴石等によって多数の死者・負傷者が出るという大きな被害となりました。
出典 総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ|御嶽山噴火災害に学ぶ
火山の注意点
火山は今回の御嶽山噴火の様に、大きな予兆が見られない場合があります。そのためには地元の住民も日々火山を注意して見ることや情報収集を心がける必要があります。また、御嶽山噴火災害を受けた法改正に伴い、活動火山対策特別措置法に「登山者の努力義務」が加えられました。火山付近の住民だけでなく登山者も火山の噴火等に対して備えをするよう努める必要があります。
出典 総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ|御嶽山噴火災害に学ぶ
火山への登山のそなえ
火山は、温泉や景観など、私たちに多くの恵みを与えてくれています。しかし、ひとたび噴火すると、大きな災害をもたらします。例えば、平成26年9月の御嶽山噴火では、水蒸気爆発が突如発生し、火口周辺にいた登山者が多く被災しました。この御嶽山噴火の教訓を踏まえた活動火山対策特別措置法の改正により、登山者は、自らの身を守る備えをするよう努めることとされました。
出典 内閣府防災情報のページ|火山への登山のそなえ
具体的には、以下のような手段を講じるよう努めましょう。
1.火山情報を集める
まず、登ろうとする山が火山かどうかを把握しましょう。火山に登るならば、火山に対する正しい知識を持つことが重要です。気象庁のHPから、以下の情報を確認しましょう。
噴火警戒レベル
登山者、防災機関、住民がとるべき行動を5段階のキーワード(避難、避難準備、入山規制、火口周辺規制、活火山であることに留意)で設定したもの
火山防災マップ
各火山で起こり得る噴火現象や、火山現象の範囲等について示したもの
2.登山届を提出する
登山届制度が導入されている火山については、必ず登山届(登山計画書)を作成し、提出しましょう。2つの提出方法をご紹介します。
日本山岳ガイド協会「Compass(コンパス)」
オンラインで登山計画書を作成し、提出することができるほか、作成した登山計画書を設定した連絡先に送付することも可能です。また、下山時間を大幅に過ぎても下山通知がない場合には、設定した連絡先(家族等)にメールが送信されます。
日本山岳協会
入山前の準備から、登山中、下山後の対応まで、様々な基本的な情報を集めることができます。登山計画書の記載の仕方も丁寧に例示されているほか、作成した登山計画書の提出先を、山岳地域名ごとに紹介しています。
地域によっては登録制の災害情報メール配信サービスを導入しているところもありますので、こちらも積極的に活用しましょう。
3.必要なものを装備する
火山の状態や特性を踏まえ、以下のような物の中から、必要なものを装備してください。
登山地図、コンパス
火山防災マップ(避難場所を確認しましょう)
携帯電話等の通信機器、予備電源
雨具、タオル、ヘッドライト、ゴーグル(降灰対策)
ヘルメット
非常食、飲料水
4.登山中も常に注意をする
噴気孔や噴気地帯の窪地などの危険な場所には、絶対に立ち入らないでください。
登山中も、気象庁のHP等からの情報収集を怠らないようにしましょう。
・噴火速報
登山中の方や周辺にお住まいの方に、火山が噴火したことを端的にいち早く伝え、身を守る行動を取っていただくため、気象庁が発表する情報(平成27年8月運用開始)
火山活動が活発な火山において、活動状況と防災上の注意点について、気象庁が定期的又は臨時に解説する情報
異常を発見した場合には下山するとともに、市町村、警察、消防に速やかに連絡しましょう。
噴火時は、山小屋や岩陰などに一時避難しましょう。また、ヘルメット・ゴーグルを着用し、マスクや湿らせたタオルなどで口を覆います。
噴火が収まったら直ちに下山しましょう。
「休火山」や「死火山」は死語
以前は、現在噴火または噴気活動を続けている火山を活火山、現在は活動していないが歴史時代に活動した記録が残っている火山を休火山、歴史時代の活動の記録がない火山を死火山と分類していました。
しかし、年代測定法の進歩により火山の過去の活動が明らかになり、火山の寿命は長く、歴史時代の噴火活動の有無だけで分類することは意味がないので、近年は休火山や死火山という分類はなされていません。
出典 気象庁|火山について
まとめにかえて
火山やその周辺は、温泉や登山など観光資源に恵まれた地域が多いです。
いつ噴火するかわからないという理由で、温泉を諦めるのはもったいない気がします。事前に情報を把握し備えておくことで、心ゆくまで自然を堪能できるようにもなります。
登山者の心得
登山者の心得 ~火山災害から命を守るために~
出典 内閣府ホームページ 内閣府共通ストリーミングシステム – 内閣府