教訓を知り、噴火に備える心構えを持つ・11月17日 普賢岳が198年ぶりに噴火活動を開始

火山
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1990年、普賢岳が198年ぶりに噴火活動を再開し、火砕流や土石流が発生し大規模な被害をもたらしました。この記事では、火砕流や土石流の仕組みとその破壊力、また火山噴火に備えた対策や避難の心構えについて詳しく解説します。火山噴火の危険性に備え、日頃から火山災害への知識を持つことは、命を守るために重要です。

火砕流及び土石流が断続的に発生

1990年(平成2年)11月17日  普賢岳が198年ぶりに噴火活動を開始

この噴火により火砕流及び土石流が断続的に発生し、人々の生命・財産及び日々の生活に甚大な被害を与えました。

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出典 国土交通九州地方整備局 これまでのあゆみ |雲仙復興事務所

火砕流と土石流

火砕流

噴火により放出された破片状の固体物質と火山ガス等が混合状態で、地表に沿って流れる現象です。
出典 気象庁ホームページ

土石流

水と土砂が混合して流下する現象を土石流といいます。流速は時速数十kmに達することがあります。噴火が終息した後も継続することがあります。
出典 気象庁ホームページ

火山災害と心構え

火山は、たった1回の噴火が大噴火を引き起こし、広い範囲にわたり被害をもたらし、人命や財産を奪ってしまいます。砂防えん堤等のハード対策だけでなく警戒避難体制の整備等のソフト対策からなる総合的な火山噴火対策や心構えが必要です。

足りなかった心構え

雲仙岳噴火(平成2年11月~平成8年6月)

足りなかった心構え
~自宅から火砕流 ※ 見物~

(島原市 70代 女性)

うちの居間の戸を開けると、火砕流が見えるんです。ぱっと赤くなったら、電気を消して、真っ黒い空に真っ赤な明かりが下って行くのを、「今、2回目」なんて言いながら、まるで花火見物でもするように見ていたんです。

親戚なんかも、「ちょっと遊びに来ん?このごろはきれいかよ、うちの茶の間から見えるから」と言ってきてね。

実は、火山の知識のある息子から、「そろそろあぶないから、お母さんたちは逃げる用意をしときなさい」って言われていたんですよ。「家族と東京に行くから、避難するときは長崎の家を使っていいよ」とカギまで送ってよこしてね。

でも、わたしは、「何を言っているの?」と、耳を貸しませんでした。火砕流のほんとうの恐ろしさを、想像することもできなかったのです。

※火砕流は、高熱の火山岩塊、火山灰、軽石などが高温の火山ガスとともに山の斜面を流れ下る現象で、流下速度は時速100キロメートルを超えることもあります。

参照 内閣府防災情報のページ|一日前プロジェクト

“危険と分かって近づいたのか” 雲仙普賢岳 火砕流災害の教訓

「危険な場所での取材は安全に十分配慮する」
記者になってから約10年、何度も言われた言葉です。

30年前の雲仙普賢岳の災害では、取材者が危険な現場に近づきました。そして、多くの地元の人が巻き込まれました。取材者が近づかなければここまでの被害はなかったのです。
ただ、今も災害現場で取材をする私は疑問に思いました。「…命を落としかねない危険な場所だと分かって、近づいたのか?」当時のことを詳しく知りたい。取材を始めました。見えてきたのは、いまも突きつけられている課題でした。
(社会部災害担当 清木まりあ)
出典 NHK|災害列島 命を守る情報サイト

出典 NHK|災害列島 命を守る情報サイト

火山防災エキスパート講話集

「火山災害対応から いま伝えたいこと」

火山防災エキスパート講話集「雲仙普賢岳1990年噴火災害 -その実際、対応と教訓-」(松井 宗廣 委員)
出典 内閣府共有ストリーミング

内閣府共有ストリーミング

まとめにかえて

日頃からの情報収集といち早く異変を察知して、早い避難行動が必要です。過去の災害から得られた教訓を将来の防災に活かし、いざという時の為に心構えを持っておくことが大事です。

災害史に学ぶ

火山の山麓で生活を営んでいる住民をはじめ、不特定多数の観光客の安全を図ることは、地元行政の責務です。また地域の人びとも、火山の山麓に住む以上は、普段から火山について学び、いざ噴火が起きたときには、身の安全を図るためにどのような行動をとるべきなのか、普段から話し合っておくことも大切です。
行政も住民も、過去の災害から得られた教訓を将来の防災に活かしつつ地域の振興と災害への備えを、いかに両立させていくかを模索する努力が必要でしょう。まさに人間社会が、火山とどのようにつきあい、共生していくかが問われているのです。
出典 災害史に学ぶ|おわりにより

出典 災害史に学ぶ