家の耐震を考えてみる・10月21日 鳥取県中部の地震

平成28年鳥取県中部地震 地震
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2016年10月21日に発生した鳥取県中部の地震は、マグニチュード6.6を記録し、10,000軒以上の住宅に損壊が生じました。この地震を通じて、特に古い住宅の耐震性が改めて問われることとなりました。瓦屋根に対する耐震性の誤解や、適切な設計・施工の重要性についても注目が集まっています。本記事では、住宅の耐震性を考慮する際のポイントや、耐震基準の歴史と最新の対策について解説します。

10,000軒以上に及ぶ住宅の損壊

2016年(平成28年)10月21日 鳥取県中部の地震

出典 環境省ホームページ 仮置場に搬入された瓦くず

鳥取県中部を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、鳥取県倉吉市・湯梨浜町・北栄町で震度6弱が観測されました。

ここ数年、地震活動が活発だった鳥取県中部では最大規模の地震となり、揺れの大きかった鳥取県と隣接する岡山県北部で被害が大きく、30人が負傷し、住宅の損壊は10,000軒以上に及びました。

鳥取県中部地震における住家被害

鳥取県中部地震における住家被害は、中部1市4町を中心に15,000棟を超え、特に、古い住宅を中心として屋根瓦(特に土葺きの瓦)のズレや落下が多く見られたほか、外壁のひび割れ・落下、塀の倒壊等が発生しました。
出典 とりネット

出典 NHKアーカイブス 2016年 鳥取県中部で震度6弱の地震

地震では古い住宅を中心として屋根瓦のズレや落下が発生する場合があります。瓦屋根は地震に弱いことになるのでしょうか。

瓦屋根は地震に弱いという風評は本当か?

瓦屋根の耐震性を知る

2001年(平成13年)に策定されたガイドライン工法で施工された瓦屋根は、震度7クラスの大地震でもその安全性が科学的に検証されています(瓦屋根自体の耐震性は検証済)。
しかしながら、大震災の発生の度に「瓦が重いから住宅が倒壊した」という報道が繰り返しなされた結果、瓦屋根を軽量な屋根材に変更する工事が行われています。
出典 一般社団法人全日本瓦工事業連盟

出典 一般社団法人全日本瓦工事業連盟 右の写真は、2016年(平成28年)4月14日の熊本地震で倒壊した住宅です。スレートや金属といった軽い屋根材であっても、住宅全体の耐震性能が低いと倒壊してしまいます。このように、軽い屋根材を使った住宅でも倒壊しており、「瓦が重いから住宅が倒壊した」という風評と矛盾が生じています。

地震の際、瓦屋根が落下するのは、なぜ?

写真は、2016年に発生した熊本地震において、立て続けに発生した震度6弱と震度7の地震を受けた後の瓦屋根の状況を撮影したものです。大規模な地震が発生すると、右側の住宅の屋根のように、和瓦による棟(屋根の頂部)などを中心として、瓦が脱落する被害が数多く見られました。この主な要因は、瓦を下地に留め付けていない旧来の工法により施工したためです。しかし、左側の屋根のように、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」により設計・施工された瓦屋根では、脱落やズレが生じにくいことが、数多くの振動実験でも確認されています。
このように同じ瓦屋根でも、設計・施工法により安全性が大きく異なります。
出典 国土交通省国土技術政策総合研究所

出典 国土交通省国土技術政策総合研究所

耐震基準、安全な家に住み続けるために

日本の耐震基準

日本では、建築基準法の基となる市街地建設物法が1920年に施行されましたが、この時点では耐震基準については定められず、1923年関東大震災後の1924年に市街地建築物法が大幅に改正され、初めて耐震基準が盛り込まれました。

また日本では、建物の耐震性能を示す「耐震等級」が設けられています。一般住宅では、震度6~7程度でも即倒壊しないという条件を底辺に、公共機関になるほどその基準値はハードルが高くなります。

安全で快適な家に住み続けるために

お住まいが大きな地震で倒壊してしまわないかという不安や、お住まいに対して抱えている不満はありませんか。そのような不安や不満は、一緒に解決してしまうことが一番お得なんです。お住まいの耐震性能を確認する耐震診断、地震に対して強くする耐震改修、さらに省エネ性能を高める断熱改修やリフォームには、補助・税制・融資などの支援策が充実してきています。
出典 (一財)日本建築防災協会

(一財)日本建築防災協会|安全で快適な家に住み続けるために

まとめにかえて

国土交通省では長期にわたり良好な状態で使用できる長期優良住宅制度を定めています。地震をはじめ様々な災害のある日本で、安心して暮らせる家があることは大事なことです。
建築基準法や耐震基準は、安心して安全に暮らせる為の目安といえます。自分が今いる家や場所の状況を知っておくことは、自分の身の安全さを知る上で有益だと言えます。

わが家の耐震性チェック

財団法人 日本建築防災協会発行の「わが家の耐震診断と補強方法」に基づいて、次の項目について木造住宅を点検していきます。すなわち、
宅地の地盤、
基礎、
建物の形、
壁の配置、
筋かい、
壁の割合、
老朽度
以上の7項目です。
この耐震診断は、過去の地震被害・災害研究の成果や、建築基準法の耐震規定などをもとに作られています。専門的な知識がなくても、簡単に診断できますのでぜひわが家を採点してみて下さい。
出典 総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ|わが家の耐震性チェック

総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ|わが家の耐震性チェック

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