津波が発生した際には、迅速で適切な行動が重要です。以下は、津波発生時の行動を時系列でまとめたものです。
地震発生と津波の到達
地震発生直後(0分~)
地震を感じたら、即行動:大きな揺れや長時間の揺れを感じた場合、津波が発生する可能性があります。沿岸部にいる場合は、津波警報が出される前でも即座に避難の準備を始めましょう。
津波からにげる
東日本大震災を踏まえて、津波から自ら判断して避難することの大切さをアニメーションを使用し子供にも分かりやすく解説した動画です。
出典 気象庁
津波てんでんこ
東日本大震災(平成23年3月)
「危ないから行かないで」と母に止められる~3日後に父と再会、「てんでんこ」の意味実感
(釜石市 震災当時小学4年 男子)
授業を受けている途中に地震が来て、いつも避難訓練でやっているように机の下にもぐり、揺れがおさまるのを待ちました。
それから、先生に「避難するぞ!」って言われて、避難場所となっていた近くの高校へ避難しました。
後から母さんが来たけど、「父さんはまだ来ていない」と言われました。ぼくは父さんや家がどうなっているのか気になって、津波を見に行こうとしたけど、母さんに「あぶないから行かないで!」って言われてやめました。
その日は体育館の暗幕を床に敷いて、その上に毛布を敷いて寝ることになりましたが、ぼくは父さんとの連絡がとれずにいたので、あまり良く眠れませんでした。
やっと3日後に父さんが避難場所に来ました。家族がバラバラに避難してきて、なんて言うか、よく教わっていた「津波てんでんこ」だったなと思います。
高い場所へ避難する準備:揺れが収まったら、すぐに身の安全を確認し、津波が来る可能性を念頭に置きながら行動します。
強い揺れや弱くても長い揺れを感じたら
地震を感じなくても、「大津波警報」「津波警報」を見聞きしたら・・・
大津波警報・津波警報は、テレビやラジオなどの放送のほか、広報車、防災行政無線などで伝達されます。
いち早く海岸から離れ、避難してください。
海水浴等により海岸保全施設等よりも海側にいる人は、「津波注意報」でも避難が必要です。
近くの高台や津波避難タワー、津波避難ビルなどに避難してください。
しばらくは避難継続してください。(津波は繰り返し襲ってくるので、大津波警報等が解除されるまでは気をゆるめない。)
時間と余力がある限り、海岸から離れたより安全な高台などに避難してください。
出典 総務省消防庁
津波フラッグ
「津波フラッグ」は大津波警報、津波警報、津波注意報(以下、「津波警報等」という)が発表されたことをお知らせする旗です。
津波警報等は、テレビやラジオ、携帯電話、サイレン、鐘等、様々な手段で伝達されますが、令和2年6月から海水浴場等で「津波フラッグ」による視覚的伝達が行われています。「津波フラッグ」を用いることで、聴覚に障害をお持ちの方や、波音や風で音が聞き取りにくい遊泳中の方などにも津波警報等の発表をお知らせできます。海水浴場や海岸付近で津波フラッグを見かけたら、速やかに避難を開始してください。
出典 気象庁
地震後の初動(5分~10分)
津波警報・注意報を確認:揺れの直後、テレビ・ラジオ・携帯の緊急速報で津波警報が発表されることがあります。警報が出た場合はすぐに避難行動を開始します。
即座に避難:津波警報が出た場合は、荷物を持ち出す余裕はありません。「すぐに」「高台」「避難場所」へ移動します。
防災の知恵「津波からの避難のポイント」
いざという時に役に立つ、防災の知恵。
今回は、津波からの避難のポイントについて。
■沿岸部や川の近くにいる人は、揺れがおさまったら、すぐに避難を開始
■逃げている時は、立ち止まったり、引き返したりしない
■津波は想像以上の速さで襲ってくる
避難は「遠く」より「高く」がポイント
自治体が指定する避難場所や避難所には、津波に対応していない所もあります。
東日本大震災では、避難所に逃げ込んで津波の犠牲になった人もいました。
どこに避難するか、身近な人と事前に話し合っておくことも大切です。
出典 NHK防災
10分で津波
東日本大震災(平成23年3月)
揺れた瞬間、「津波は30分後」と推測~役場に戻って10分で津波~
宮古市 40代 男性 市役所職員
10年近く役所で防災の仕事をしていましたので、感覚的にどこからきた地震で、マグニチュードがどれくらい、これは津波警報が出そうだとか、そういうのがわかるんです。
3月11日は、外にいて、緊急地震速報が鳴って揺れて、「あ、宮城県方向だな、この揺れは変だ」と思い、すぐに職場があった田老(たろう)地区の総合庁舎に引き返しました。
車線の真中をどっちにでも行けるような状態で走りながら、「100メートルくらい通り抜ければ、後は渋滞はない」ということも考えていました。その途中、家族が全員避難できたことと、職場の全員がどこにいるかをメールで把握していました。
揺れた瞬間から時計を見ていて「30分後に津波が来る」と予測したのですが、田老の総合庁舎に20分で戻って、その10分後に津波が来たのです。ぴったりでした。ただ、ラジオで言っていた宮城県方向からの津波ではなく、真正面から来た津波だと直感的に感じました。
で、たった5分間で終わったんです。
津波が鎮まった直後に周りの人に「防災無線聞こえたか」と聞きました。自分の耳に残っていなかったので。後から映像を見たら、ちゃんと音が入っていましたから、鳴ったのは確かですが、私の記憶にない。周りの人たちもそうでした。目の前に津波が迫っていたんで、自分たちが集中していたのは津波のこと。周りの音は耳にはいらない状態になるということがわかりました。
津波が来る直前までは、いろんな情報を仕入れようとしていたので、周りのことも鮮明に覚えています。言葉も全部覚えています。でも、津波が着た瞬間からは、もう津波しか覚えていない。周りのことは分からないですね。人間て、そういうふうになるんですね。
避難
避難行動(10分~15分)
- 沿岸から離れる:沿岸や河川近くにいる場合、徒歩でより安全な場所へ移動します。自動車を使うと渋滞に巻き込まれる可能性があるため、基本は徒歩避難です。
- 高い場所を目指す:指定の避難場所や、近くに高い場所があれば、そこに避難します。近くに高い建物がある場合、建物の3階以上へ移動することも有効です。
- 津波を直接見に行かない:津波の様子を確認しに海に戻ることは非常に危険です。
津波到達前(15分~30分)
- 安全な場所で待機:高い場所に避難したら、津波が収まるまでその場所から動かないことが重要です。津波は複数回襲来することがあり、最初の波よりも後続の波が大きくなることがあります。
- 最新情報を確認:携帯ラジオやスマートフォンなどを利用して、津波の情報や避難指示を確認します。津波の危険が完全に過ぎ去ったという情報が出るまでは油断せず待機しましょう。
津波の避難3原則
1 想定にとらわれるな!
2 その状況下において最善を尽くせ!
3 率先避難者たれ!
出典 政府インターネットテレビ
津波襲来後
津波襲来後(30分~数時間)
- 安全確認が取れるまで戻らない:津波が収まった後も、余震や津波の再来の可能性があるため、自治体や警察から安全が確認されたという情報が出るまでは避難場所にとどまります。
- 避難指示に従う:避難指示が解除されるまで、安全な場所で待機し、無理に戻らないようにしましょう。
津波はくりかえしおそう
はじめに来た波より、あとから来る波のほうが大きいことがあります。
津波警報がでているあいだは、避難をつづけましょう。
出典 仙台管区気象台 津波からいのちをまもる
津波後の行動(数時間~)
- 被害状況を確認:津波が収まった後、自宅や地域の状況を確認する際は、倒壊した建物や電線、がれきに注意します。また、復旧作業は自治体や専門家に任せ、自分自身の安全を優先します。
- 支援物資や情報の収集:避難所での生活が長引く可能性がある場合、自治体から提供される支援物資や情報を活用し、冷静に対応しましょう。
津波は最初の対応が非常に重要です。揺れを感じたら迅速に高台へ避難するという意識を常に持つことが、命を守るための最も重要な行動です。
まとめにかえて
津波が発生したら…その時どうする?
「一刻も早く海岸から離れ、高台に避難を」
津波に襲われると、命の危険に直結します。海岸や川の河口近くにいる人はすぐに逃げて下さい。津波警報や津波注意報で予想される津波の高さの違いや危険性、避難行動のポイントをまとめました。海外の地震(遠地地震)や火山噴火による津波の特徴も。
出典 NHK|災害列島 命を守る情報サイト
ペルーで発生した地震、津波が日本へ到達まで20時間以上
遠地で発生した津波はどうでしょう。 以下の画像をクリックすると、平成19年(2007年)8月16日にペルーで発生した地震による津波のアニメーションを見ることができます(容量:4.2MB)。 日本から遠く離れたペルーから太平洋を横断し、20時間以上もの時間をかけて日本へ到達している様子がわかります。
出典 気象庁|津波発生と伝播のしくみ
いざその時、その後は?
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