2016年12月22日、新潟県糸魚川市で発生した大規模火災は、強風に煽られて市街地の広範囲に延焼し、多くの建物が被害を受けました。この災害は、地域の歴史に刻まれた多くの教訓を思い起こさせます。先人たちは防災に向けた知恵や工夫を町づくりに取り入れ、災害への備えを後世に伝えようとしてきました。過去の経験を振り返り、現代の私たちがどのように防災に取り組むべきかを考えるきっかけとして、この大火の教訓を再確認しましょう。
強風により同時多発的に延焼拡大
2016年(平成28年)12月22日 新潟県糸魚川市で大規模火災
JR糸魚川駅近くの飲食店から出火、強い南風にあおられて市街地の複数の住宅に飛び火して市街地の広範囲が焼失しました。本火災では、強風により、火元及び延焼先から大量の火の粉や燃えさしが広く飛散し、風下側の木造建築物への飛び火によって、同時多発的に延焼拡大しました。
糸魚川市駅北大火記録映像
糸魚川市では、平成28年12月22日に発生した「糸魚川市駅北大火」を次世代に伝承していくための記録映像として、また、防災教育への活用を図るための教材として、取材した内容および発災当時からの映像等を活用した記録映像を制作しました。こちらは一般向けの内容となっています。
出典 ITOIGAWAbroadcast 糸魚川市駅北大火記録映像(一般向け)
糸魚川市では「糸魚川市駅北大火」を次世代に伝承することも行われています。これは強い風の影響で過去に大火が何度もあり、その対策や心得を忘れずにいる取り組みの一つです。
歴史(過去から学び これからに備える)
旧糸魚川町域で3桁の建物が被災した大火は過去13回にのぼり、そのすべてに強い風が影響しています。しかし、死者は驚くほど少なく、これは長い歴史のなかで、地域に大火時の心得が息づいていたことを伺わせます。
出典 糸魚川市ホームページ
備えの歴史
サンゴジュやイチョウなどは葉や幹に水分を多く含み、防火樹の効果があります。かつて街なかには計画的に植えられた樹木が多く見られました。写真は昭和30年代前半の糸魚川駅前のイチョウ並木です。
横町の秋葉神社と、新鉄の山の井神社(旧名 秋葉神社)は、町の西端、南端の風上に鎮座する、先人たちからのメッセージシンボル。同じく、私たちは街なかの水路や広場が何のための存在か気付く必要があります。
出典 糸魚川市ホームページ
防災まち歩きのすすめ
私たちの住むまちは過去の人たちが被災し、そこからの復興に取り組んだ歴史の上に出来ているともいえます。その被災の経験を未来の私たちに伝えようと、防災の手がかりがまちには残されています。
防災マップ
地震や火災、洪水などの災害が起こると、普段見慣れているなずのまちが一変し、思いもよらない事態に遭う場合があります。例えば、避難場所がどこかわかっているのに、そこにたどりつく道がわからなくなることもあります。
そのためにも、日ごろから自分のまちをよく知ることが重要です。まちを歩いて防災マップをつくることを考えてみます。
出典 内閣府|まちを歩いて防災マップを作ろう!!
教訓を未来に伝える災害遺構
災害遺構とは?
災害遺構とは、過去に災害で被害にあった人達が、その災害からの教訓を将来に残したいと意図して残された(保存活動が行われてきた)構築物、自然物、記録、活動、情報等です。
出典 内閣府|TEAM防災ジャパン
災害遺構で地域の防災の知恵を学ぼう!
このコンテンツは、地域にある様々な災害遺構等を見つけ、それをきっかけに地域で発生した災害を知ることにより、防災の知恵を気軽に学ぶことを目的としています。楽しい活動とともに防災力を高める事例も紹介しています。身近にある災害の遺構や記録から、あなたも地域の防災の歴史と知恵を学んでみましょう!
出典 TEAM防災ジャパン
まとめ
現在のまちも過去には災害があり、復興に取り組んだ結果今私たちが住むことができています。
その経験を私たちに伝えようとした先人のメッセージがまちにはあります。防災に取り組むにあたり、先ずそのメッセージを知ることは大変有益なことです。